2021年6月研修会 開催報告

みなさん、こんにちは!

修習技術者支援委員会 委員の永澤です。

梅雨の時季ですが、いかがお過ごしでしょうか。

6/12(土)に、6月度の修習技術者研修会をオンラインで開催しました。

今回は技術士に求められる資質能力(以下、コンピテンシー)や、技術者倫理の理解を深めるためにピッタリの研修内容です。

修習技術者の皆さんは、IPDをご存じですか。IPD(Initial Professional Development)は初期専門能力開発のことであり、修習技術者が技術士を目指して行う継続研さんです。技術士になるまでに優れた倫理観を身につけ、コンピテンシーを高めていくことが重要ですが、どのように取り組めば良いのか、はっきりとしたイメージをなかなか持てないかたがいらっしゃると思います。また、独学による座学では身につけることが難しいことも事実です。

そこで本委員会では、このような能力向上をサポートする場として、ほぼ毎月研修会を開催しています。修習技術者だった私は5年前にはじめて本委員会の研修会に参加し、積極的な参加によって自身のコンピテンシーが向上していくことを実感できました。当時委員だった和田講師にも大変お世話になり、「修習とは何か」を教えてくださいました。

その和田講師から、今回は業務遂行能力をテーマとして、上記のIPD制度と海外の技術者資格を絡め、コンピテンシーと技術者の倫理についてご講演いただきました。その後、倫理事例をもとに、参加者の皆様がグループディスカッションと発表を行い、講演内容の理解を深めました。毎回多数の方が参加され、今回は30名超の方の申し込みがありました。

6月度研修会の開始

開会挨拶

本委員会 小田委員の司会のもと、阿部委員長の挨拶で研修会の開始です。最近の委員会内でも話題に上がっていたIPDに関する研修会のためか、言葉に熱がこもっていたように感じました。

本委員会 阿部委員長

講演

続いて、小田委員よりWeb研修の注意事項について説明を行った後、和田講師のご講演が始まりました。柔らかい語り口で、専門外のかたにも理解できるように丁寧にご説明いただき、修習技術者や技術士のお手本となるような姿勢が好印象でした。

和田 祐二 講師

はじめに、海外の技術者資格の概要/歴史、IPDをはじめとした日本の技術士制度との比較などについて解説がありました。IPDに関するご説明では、学生時代に受ける専門技術の教育や、最初の関門である技術士第一次試験を経た後の技術士合格、さらには合格した後のステップアップなど、順を追って分かりやすくお話しいただきました。続いて、技術士の3義務2責務や、コンピテンシーに関する内容に移りましたが、いずれも倫理が深く関わっていることと、学ぶこと以上に実践が大切であることを改めて気づかされました。

和田講師による講演内容の一部

事例研究グループディスカッション

休憩を挟んだ後、5つのグループに分かれ、和田講師より与えられた倫理事例をもとに、グループディスカッションが始まりました。5グループのうちの2グループは、トンネルの工事問題、残りの3グループは防衛関係の事例に取り組みます。

与えられた倫理事例をもとに各グループで議論開始

私もファシリテータの立場で、トンネルの工事問題について議論を行うグループに参加しました。かなり専門的な内容なので、議論が成立するか不安に思いながらリーダ役の参加者に進行を託したのですが、杞憂に終わりました。グループ全員が理解できるように、参加者それぞれが立ち回り、議論が活性化したためです。コミュニケーションの基礎が実践されていて、安心して見守ることができました。このような積極的な姿勢を持ち、研修会に何度も参加しているうちに、コンピテンシーの高まりを実感できるようになります。

和やかかつ真剣なグループディスカッションの様子

各グループ発表と質疑応答

休憩の後、グループディスカッションでまとめた見解を各グループで発表していきます。持ち時間は発表5分、質疑5分の合計10分です。多くのグループが適切な時間で発表を行い、プレゼンテーションとタイムマネジメントの能力の高さを感じました。

グループの1つが取りまとめた発表資料

質疑では和田講師や委員会スタッフによるコメントのほか、参加者同士の熱い議論もありました。ここで重要な点は、優れた内容の質問をすることよりも、自ら手を挙げて質問することです。それがコンピテンシーの向上に直結すると、私自身の経験から思います。研修会に参加したての頃は挙手が怖かった私ですが、場数を踏むことで慣れ、やがて自信に変わったことを今でも覚えています。繰り返しますが、素晴らしい内容の質問をすることはありません。学会や組織内の会議ではないので、どんなに初歩の内容でも恐れることはないですし、専門外の参加者にとっては不明点が共通していることが往々にしてあります。

閉会挨拶

締めの挨拶は、島崎副委員長です。「本研修では数ある研修会の中でも非常に難しい倫理事例を扱い、かなり濃い議論を行ったものの正解は一つではありません。甘えの構造の当事者となったとき、倫理的に適切な対処・判断ができるかどうかが重要であり、今回の研修会受講を通してすばらしい技術者を目指していただきたい」とのお話がありました。

本委員会 島崎副委員長

閉会前のお知らせ

今回は開催がありませんでしたが、普段は研修会終了後に修習技術者発表研究会が行われます。主に修習技術者を対象に、ご自身の専門技術に関する内容をテーマとした発表会であり、プレゼンテーション能力の向上を図っていただく場です。発表前後には本委員会の技術士による助言やフォローがあるため、効果的な経験業務の棚卸や人脈の構築(メンターとの出会い)にも役立ちます。私も2度発表を行い、専門外の技術者へ分かりやすく伝える発表の仕方を身に付けられました。研修会に加え、この場で発表することで、コンピテンシーの理解と向上は劇的に変わります。ぜひ一度ご相談ください!

修習技術者発表研究会からのお知らせ

以   上

修習技術者支援委員会 委員 永澤 一也