2023年1月度修習技術者研修会 開催報告

2023年1月度修習技術者研修会 開催報告
皆様こんにちは。修習技術者支援委員会委員の中村です。
1月14日(土)に、修習技術者研修会を開催しました。今回はオンライン開催ということで16名の参加を頂きました。休日にもかかわらず多数のご参加ありがとうございます。
今回のテーマは「業務遂行能力の理解度向上と、業務遂行能力の現状把握」ということで、本研修を通じて修習技術者に求められる資質・能力である業務遂行能力のうち、自身が伸ばすべき能業務遂行能力を認識することを目的としています。

1.開会挨拶
初めに阿部委員長より、開会挨拶がありました。
「本日は基本修習課題のなかでも重要な業務遂行能力「資質向上」がテーマで、今日行われるグループワークがとても重要だと思っています。グループワークは、皆さん自身の業務での行動をコンピテンシーの観点から振り返り評価する内容です。「業務を振り返り評価する」という機会は日頃なかなか得られないものです。自分の業務についてコンピテンシーの観点から振り返り、次につなげるように省察することは、コンピテンシー能力を高める上でとても大切です。本日は、コンピテンシーに基づき業務を振り返る経験をして、日頃の業務に活かしていただければと思います。
                
                  阿部委員長
技術士にとって、コンピテンシー能力を高めるため、日頃の業務をコンピテンシーの観点で振り返り、次の業務に生かすように考察する事はとても重要と考えますので、本研修でそのトレーニングとなればと感じました。

2.講演 修習技術者に求められる資質・能力
葛西委員より自己紹介のあと、修習技術者に求められる資質・能力としてGA&PCの説明がありました。GAとPCは、技術士の国際同等性の観点から国際エンジニアリング連合(IEA)が指標として作成したものであり、修習技術者は修習の期間を通してPCの獲得が必要との説明がありました。具体的に仕事にあてはめて考えると、顧客は困っていることや解決してほしいことを問題提起するのみであり、「正解」は自分で創ることが求められる。そして正解とは「最適な解」であり、この「正解」を導く資質・能力がPCであることの説明がありました。そのうえで修習技術者には3つの基本修習課題「専門技術能力」「業務遂行能力」「行動原則」の理解・習得が必要で、今回は「業務遂行能力」にフォーカスし、「業務遂行能力」とはさまざまな制約条件の中で問題をどのように解決するかであると説明がありました。そして、8つの項目「問題分析」「解決策のデザイン及び開発」「評価」「技術業務のマネジメント」「コミュニケーション」「国際的な適応力」「判断」「リーダーシップ」の説明がありました。
                  
                  講師 葛西委員
あらためて自らの業務経験をふりかえり、仕事で問題が発生した際にどのように解決すればよいかの思考の根底になっていた能力が、まさに業務遂行能力に必要な8つの項目だったと実感しました。

3.個人ワーク①、グループワーク①
葛西講師の講演後、グループワークタイムとなりました。グループワークでは、参加者は専門分野が近い同士5名程度でA~Dの4つの班に分けて行い、事前に自身の担当業務または個人的に取り組んでいることを一つ取り上げて業務遂行能力の8項目にあてはめ、作成して持ち寄ったワークシートをグループ内で説明しました。
各グループワークでの各人の説明を聞かさせて頂きましたが、すべての方が8項目に上手にあてはめて整理されており、資質向上にかける情熱を実感できた時間でした。    

                 A班グループワークの様子                            
                 
                 B班グループワークの様子
 
                 C班グループワークの様子        

                 D班グループワークの様子

4.個人ワーク②、グループワーク②
10分程度の休憩をはさみ、続いて個人ワーク②として「目指したいことまたは反省」と「総合力としての評価」をシートに記入し、チーム内で共有しました。「目指したいこと」との乖離や反省点について、コンピテンシーの8つの項目ごとに振り返りを行いました。専門分野が近い方々で構成されたチームにもかかわらず、ほとんどが初めて聞く問題や課題であるとの印象を各自もっていましたが、必要なコンピテンシーの観点からみれば重要となるポイントにはある程度の共通点がみられ、お互いの仕事において非常に3異なり、有意義な時間であったと見受けられました。私自身も新たな気づきがあり、とても参考になりました。 
                   
                 A班グループワークの様子          

5.講演 行動原則「継続研鑽」
次の講演では、行動原則「継続研鑽」について葛西講師より説明がありました。継続研鑽が必要となった背景としては、1990年代後半にアメリカにおいて高等教育を受けた技術者に、技術者倫理、コミュニケーションなどの能力が備わっていなかったことがわかったという説明の後に、世の中の動きに応じ、自身の知識の活用方法を変えて、常に技術者倫理を念頭において行動することが重要であると説明がありました。なるほど!!と改めて感じました。最近のICTやDXの変化に対応して業務に活用するテクニックが重要ですが、扱う者も成長しなければ顧客の満足度を充実できないなと思いました。

また、単なる出力(Output)ではなく、磨きをかけて成果(Outcome)を出すこと。そしてその成果が良い結果をもたらしているか省察を行うことが重要であると説明なされました。
最後に、葛西講師の私見を含め、修習技術者の皆さんへ以下のメッセージが送られました。
・あくまでも私見ですが、今回のテーマである業務遂行能力が低下しているのではないでしょうか。このためには「なぜ?」を考えることが大切です。
・特に「問題分析」や「国際的適応力」の低下を懸念しています。
・私たち修習技術者、技術士が、PCを確実に獲得していき、継続研鑽を実践して、イノベーションを起こすくらいの気持ちで業務に取り組みたいと思います。
葛西講師の講演の後、5分ほど質疑応答が行われ研修会は終了となりました。
                    
                 葛西講師による講演のまとめ
 「PCを獲得し、継続研鑽の上で、イノベーションを起こす!」素晴らしい言葉です。私も背筋が伸びる思いでした。皆さん、だれもが認める最適解を導き出し、至高の技術者を目指しましょう!☆

6.講評、閉会挨拶
修習技術者支援員会の片岡副委員長から閉会の挨拶をいただきました。
 「本日は、GA&PCとして、修習技術者に求められる資質・能力を学びました。業務遂行能力として「ルーティンではない、非定常の業務」を想定して8つのコンピテンシーの視点・観点、すなわち、問題分析、解決策のデザイン及び開発、評価、技術業務のマネジメントコミュニケーション、国際的な適応力、判断、リーダーシップそれぞれについて自分が行った実績、反省、目指したいことを振り返りました。これをグループワークでお互いに説明しあうことで、自分が客観的に問題点を説明できているだろか?解決策妥当性を客観的な表現で示すことができているだろうか?など、コンピテンシーごとに、今の自分の出来具合と目指す出来具合をぜひ、比較してみてください。グループワークでは、自分では気づけない他者の視点が得られたと思います。最後に継続研鑽とリフレクションが大切です。リフレクションによって、自分とチームの能力をさらに高めることができると言われています。業務遂行能力について、今後も高める工夫を継続ください。」
アンダーラインの2か所は非常に大事な言葉だと思いました。特に自己研鑽と変化に応じた柔軟な対応は業務の効率化に反映されることと思います。
                 
                  片岡副委員長
以上
                      
                     修習技術者支援委員会 委員 中村毅寿