みなさん、こんにちは!
修習技術者支援委員会 委員の杉山です。
2/11(土)修習技術者研修会終了後に、修習技術者研究会をオンラインで開催しました。今回は農業部門の修習技術者である木村様に発表していただきましたので、その様子をお伝えします。
1.開催にあたり
発表にあたり、司会の修習技術者支援委員会 森本委員より本研発表研究会の進め方について説明がありました。発表時間は20分、質疑応答は20分です。発表の評価ポイントは、①発表時間は守られたか、②声は聞きやすかったか、③発表資料は見やすく工夫されているか、④聞き手にわかりやい発表であったか、⑤質問には的確に対応できていたか、そして⑥技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)です。これらの評価基準を念頭に、発表に臨んでいただくことがポイントです。
司会 森本委員による開催のことば
2.木村様の発表
発表テーマは「レトルトパウチ食品の加熱殺菌条件と包材の材質」です。私たちの生活に欠かせない“食”に関するテーマということで、どなたにも興味をもって聞いていただけたと思います。
木村様の発表テーマ
発表内容はレトルトパウチ食品で内容物が漏れてしまうという不具合に対する対策です。レトルトパウチ食品の製造工程は、原料の加工・パウチへの充填・レトルト殺菌・品質検査・梱包され出荷となります。問題となっている穴の発生する工程を調査し、レトルト殺菌工程で発生していることがわかりました。さらにこの穴の状態の調査から、穴はレトルトパウチの内側から外側に向かって空いていることを突き止め、これが重要な成分を含んだ原料に関係していることから、原料の配合を変えずに漏れない条件を決めることを目的に取り組まれました。
レトルトパウチ食品の製造工程
工程の条件検討にあたり、加熱殺菌条件と包材の材質に着目して実験を行いました。
方策1:加熱殺菌条件
温度を高くし、時間を短く
温度を低くし、時間を長く
方策2:包材の材質
シーラントフィルムの熱への影響
熱に強い材質
熱に弱い材質
実験から殺菌条件は温度を高くし、時間を短くしたうえで、レトルトパウチの材質は、熱に強い材質を選定することが望ましいという方策を得ました。実際に殺菌条件は高温短時間として、包材のシーラント材質に耐熱性のフィルムを採用したところ、原因となった成分が含まれていてもレトルトパウチの包材に穴が開くことはなくなりました。また、一般的に熱に強い材質は、こすれに弱いと言われています。そのため、さらにこすれ試験を実施し、この食品で使用するレトルトパウチ包材の材質において、熱に強くこすれに弱い材質と熱に弱くこすれに強い材質とでは、こすれには差がないことまで確認できました。これらの結果から同じ成分を含むレトルトパウチ食品への水平展開を進めました。最後に、水平展開を進めていく中での反省として、包材サプライヤーとの調整に時間を要したこと等を述べられ、その点については今後フィルムに関する専門知識を身に着け、社内外の関係者との利害調整を行いたいとの決意でしめくくり、発表を終えました。
3.発表後の木村様の感想
今回は、修習技術者の研究発表会という貴重な機会をいただき、ありがとうございます。
発表の準備段階(スライドおよび原稿の作成)、本番、フィードバックの段階まで、技術士の先生方からアドバイスをいただき、たくさんの気づきがございました。様々な専門家の方々にプレゼンするのは、今回が初めてです。いつもは、専門的学識・問題解決にかたよっていることもあり、わかりやすさに努めました。
本、WEBなどで調査したものの、手探り状態でした。情報の量だけではなく、見せ方、伝え方などの一連の流れは、技術士の視点でなければならないことを改めて認識しております。技術士の仲間入りができるように、引き続き、初期能力開発に努めます。今後とも、よろしくお願いいたします。
4.最後に
以上、2月度の修習技術者研究発表会の様子をお伝えしました。修習技術者支援委員会では修習技術者の発表者を随時募集しております。修習技術者の方は、技術士による発表資料の事前サポート及び事後のフォローアップを受けることができますので、修習技術者発表研修会をプレゼンテーションの場として積極的に利用して頂ければと思います。テーマは仕事のことだけでなく、プライベートで進めていることでも構いません。本発表研究会に興味を持たれた方は、日本技術士会 修習技術者支援委員会のホームページに掲載されていますので、是非アクセスしてください。
https://www.engineer.or.jp/c_cmt/syuusyuu/topics/003/003404.html
修習技術者支援委員会 委員 杉山 尚美