2023年10月度修習技術者研修会 開催報告

みなさん、こんにちは!委員補佐の小林賢史です!10/14(土)修習技術者研修会終了後に、修習技術者研究会をオンラインで開催しました。今回は建設部門の修習技術者である梅本様に発表していただきましたので、その様子をお伝えします。

~司会より進行説明~

まず、司会の小塚委員より発表研究会の進め方について説明がありました。発表時間20分、質疑応答20分の計40分で、評価基準は指定時間内に発表が行えているか、発表内容は簡潔明瞭か、声量は適切か、パワ-ポイントの見やすさ、聞き手に対する判りやすさ、質問への対応は的確か、技術士に求められる資質能力が含まれているかです。また、発表研究会の意義は「技術士としての資質能力の習得を目的として、プレゼン練習の機会を提供し、業務の棚卸に活用願いたい。また、技術士からのアドバイスを得られるので出会い、交流の場としても利用願います。」との説明でした。

~梅本様の発表内容~

『低空頭で国道を斜めに跨ぐ高架橋の橋脚・基礎の耐震対策』

1.背景・問題点

本発表の舞台は1963年に建設された高架橋でした。交通量が多い国道の上空に高架橋が建設されていましたが、以下のような問題がありました。

・現在の耐震基準から判断すると橋脚及び井筒基礎はともに耐震性能満たしていない。そのため、補強または改築が必要となった。

(建設当時は大規模地震が考慮(規程)されていなかった。)

・横梁にゲルバー支持されている鈑桁は現状の構造のままでは落橋が懸念される。

・横梁は損傷が激しく、地震時に横梁は落下の可能性がある。

・当初の設計時から構造的欠陥を有していた。

・問題となっている高架橋下の国道(4車線)は交通量が多く、全面交通止めは不可能である。

背景・問題点の説明

2.課題設定

上記の背景・問題点に取り組むにあたり、梅本様は以下のような課題を設定されました。

・国道を全面的に通行止めしなくて済む工法の選定

・施工中における基礎の安定性の確保

3.解決策

上記の課題に対し、梅本様は以下のような解決策を実施されました。

・鋼管矢板圧入工法の選定:

この工法は現井筒基礎の周りに鋼管矢板と呼ばれる部材を打ち込んでいく工法ですが、大型のクレーンを用いなくても低空頭下で施工でき、国道の全面通行止めを回避できる点が特徴です。またこの工法だと鋼管矢板の内部掘削時に、鋼管矢板が周囲の土が崩れないようにする壁を兼ねるため、土留め工は不要である。くわえて、既に打設した鋼管矢板上を自走する工法であるため、施工も比較的容易に実施でき、かつ安全も確保できるのが利点です。

解決策の説明

4.コンピテンシーの振り返り

梅本様はご自身の活動からコンピテンシーの振り返りを行いました。特に私が印象を受けたのは、鋼管矢板工法は主に海や川で実施されてきた施工方法なのにも関わらず、今回の問題に対して他の施工方法と比較して分析を実施して圧入工法で鋼管矢板を打設し基礎を構築する工法を最適解だと提案されたことでした。前例にとらわれず、梅本様ならではの問題分析・着眼点によって、よりよい提案がなされたことは非常に参考なりました。

コンピテンシーの振り返り

5.最後に

以上、10月度の修習技術者研究発表会の様子をお伝えしました。修習技術者支援委員会では修習技術者の発表者を随時募集しております。修習技術者の方は、技術士による発表資料の事前サポート及び事後のフォローアップを受けることができますので、修習技術者発表研修会をプレゼンテーションの場として積極的に利用して頂ければと思います。テーマは仕事のことだけでなく、プライベートで進めていることでも構いません。本発表研究会に興味を持たれた方は、日本技術士会 修習技術者支援委員会のホームページに掲載されていますので、是非アクセスしてください。

https://www.engineer.or.jp/c_cmt/syuusyuu/topics/003/003404.html

修習技術者支援委員会 委員補佐 小林 賢史