修習ガイダンス2023

みなさん、こんにちは!委員補佐の小林賢史です!
2023年4月8日に修習ガイダンス2023が行われました。
修習ガイダンスは技術士一次試験に合格、またはJABEE過程を通過した修習技術者が
技術士二次試験合格を目指すための情報交換の場です。
機械振興会館とオンラインのハイブリット開催で合計175名と大勢の方々にご参加いただきました。今回は修習ガイダンス2023についてご紹介いたします。

会場の様子

1. 開会挨拶
まず始めに、技術士会河津副会長より、開会のご挨拶をいただきました。これから二次試験へ挑戦する一次試験合格者、JABEE課程修了者へエールを送っていただきました。

日本技術士会 河津副会長

2.講演「技術士会第二次試験制度の解説、修習方法・修習支援体制の説明、IPDの意義」
続いて、修習技術者支援委員会の阿部委員長より、技術士制度と技術士法、第二次試験制度等について解説いただきました。技術士は公共性・公益性を確保できるよう活動することが求められます。技術士の目的・意義については修習技術者のうちから意識できるよう心がけることが必要です。
また阿部委員長から、技術士としての資質(コンピテンシー)を発揮した業務経験のお話をいただきました。ご説明いただいた業務経験では「このままでは顧客に危険が及ぶ可能性がまだ残っている」という考えから、自発的に提案をして事故を未然に防止できたと伺いました。当たり前のことかもしれませんが、技術士は単に言われたことだけでなく、自立的・自発的に考えて行動することが求められるのだと改めて気づきました。

修習技術者支援委員会 阿部委員長

3.青年委員会委員長祝辞
続いて、青年技術士支援委員会の河野委員長よりご祝辞をいただきました。
河野委員長からは修習技術者への激励と青年技術士支援委員会のご紹介をいただきました。

青年技術士支援委員会 河野委員長

4. パネルセッション
テーマ:「技術士となり、さらにその先へ、今日から始めるIPDを考える」
パネルセッションは以下の方々にご参加いただき、コーディネータである中村さんの進行によりスタート致しました。

コーディネータ:
中村 毅寿さん(技術士 建設部門 修習技術者支援委員)

パネリスト:
片岡 陽一さん(技術士 電気電子部門 修習技術者支援委員)
谷本 陽一さん(技術士 衛生工学部門 修習技術者支援委員)
瀬尾 弘美さん (技術士 建設部門 男女共同参画推進委員)
新川 匠平さん(修習技術者)

4.1.パネリスト自己紹介(第一部)
パネルセッション第一部は、パネリストの自己紹介から始まりました。技術士の皆さんからは技術士を目指したきっかけ、試験の勉強方法、技術士を取得してよかったこと、これからの活動等についてご紹介いただきました。修習技術者の新川さんからは技術士二次試験に向けた取り組みやIPD懇談会への取り組み、気づきノートについてご紹介いただきました。
パネルセッション第一部での感想ですが、技術士の試験は日々の業務への取り組みが試験にも反映されるということや、技術士になったつもりで業務に取り組む、という点が印象的でした。技術士は8つの資質能力(コンピテンシー)を備えることが求められますが、修習技術者である私も技術士になったつもりで業務に取り組まなければと気持ちが引き締まる思いでした。また同じ修習技術者の新川さんの気づきノートは、研修会で学んだ内容などが細かく書かれていたことに感銘を受けました。私も日頃からメモ等を取るようにしていますが、新川さんに負けないように頑張らなければと改めて思いました。

4.2.パネル討論セッション(第二部)
テーマ:技術士コンピテンシーの獲得に向けて
パネルセッション第二部は、新川さんから各技術士へ質問をして、技術士の考え方や業務への取り組み、苦労した点などをご回答いただきました。質問は以下のような内容でした。

・技術士を取る前後での苦労した点
・修習技術者時代、どう修習を行ってきたか?
・技術士取得のメリットについて
・技術士の本質を理解するには?
・二次試験でどのコンピテンシーを重要視すべきか?
・今後の取り組み、最終目標について

みなさん技術士を取得されるまで大変であったことが伺えました。また、取得されてからも社内活動を行ったり、研修会を運営したり、精力的に活動されている点が印象的でした。
技術士の取得がゴールではなく、スタートだとよく耳にします。技術士のみなさんの活動をお聞きする中で、単に技術士取得だけでなく、その先のビジョンも見据える必要があると感じました。また、みなさん生き生きとした表情だったことが、もう1点印象出来でした。業務では大変なことが多い中、前向きに活動されている様子が伺えました。私も改めて技術士になって前向きに活動したいと思いました。

パネルセッションの様子、谷本 陽一さん

瀬尾 弘美さん

片岡 陽一さん

新川 匠平さん

5.閉会挨拶
最後に修習技術者支援委員会の片岡副委員長より閉会の挨拶をいただきました。
これから技術士二次試験を受ける修習技術者に暖かいお言葉をいただくことで、これからの二次試験に向けた勉強に励みがでてきました。

修習技術者支援委員会 片岡副委員長

6.名刺交換会
オンラインでの接続終了し、会場のみですが各部会からの紹介と名刺交換会が行われました。みなさん活発に名刺交換と会話をされていました。私は機械部門受験予定のため、機械部会の皆様と名刺交換をしました。さまざまな部会の技術士の方に集まっていただきましたので、交流の場として活用できました。

7.ポストクレジットシーン
修習ガイダンスは修習技術者支援委員会の委員が100%ボランティアで行っています。
今回は修習ガイダンスを影ながら支えていた委員をご紹介いたします。

7.1.機械振興会館の入口
機械振興会館の入口では松田さん(技術士 農業部門)が1F入り口で待機していました。
会場へ迷わず行けるよう、案内役をしていただきました。

松田さん

7.2.受付
受付では杉山さん(技術士 経営工学部門)、石黒さん(技術士 応用理学部門)に対応いただきました。

石黒さん(奥側)、杉山さん(手前側)

7.3.オンラインの対応
名平さん(技術士 情報工学部門)、小塚さん(技術士 金属部門)、飯田さん(技術士 電気電子/上下水道部門)にWeb参加者が安定してホスト接続できるように準備いただいています。

小塚さん(左側)、名平さん(中央)、飯田さん(右側)

7.4.パネルセッションの準備
コーディネータの中村さん(技術士 建設部門)と修習技術者の新川さんとパネルセッションの準備を実施いただいています。

中村さん(手前)、新川さん(奥側)

7.5.総合司会進行
司会進行は阿部さん(技術士 金属部門)に対応いただきました。

阿部 真丈さん

8.最後に
私は、今年の二次試験が4回目の挑戦となります。毎年、修習ガイダンスの講演を聞いていましたが、修習ガイダンスの参加を重ねるたびに技術士に求められる資質(コンピテンシー)の理解が少しずつ出来てきたように感じます。また、情報交流会では二次試験に挑戦する修習技術者の方々との出会いがあったり、技術士の方々からアドバイスや応援をいただくことができました。この修習ガイダンスで得たことなどを糧にして、技術士になれるよう頑張っていきたいと思います。修習技術者のみなさん、ともに頑張っていきましょう!

修習ガイダンス2023_Q&A集
最後に、参加者の皆さんからたくさんの質問をいただきました。ここではいただいた質問に対する回答を掲載致します。

1.事前にいただいた質問

質問その1
【質問者】建設部門

【質問内容】技術士に求められるコミュニケーション能力の具体的な内容についてご教示願います。また、その勉強方法についても併せてご教示願います。

【回答】「コミュニケーション能力」は幅広く奥の深いテーマであります。技術士に求められる資質能力については受験申込案内にも触れられています。「明確かつ効果的な意思疎通」とは具体的にどのようなことなのか、どのように習得することができるのかなど、疑問に感じたならば、探求を始めてください。実際の業務を通じて、また修習技術者支援委員会の研修会を通じて学び・実践することでコミュニケーション能力が向上します。
勉強方法は様々ありますが、私が勧めるのは「文書作成能力の向上」です。ガイダンスパネルセッションでもたくさんアドバイスがあったと思いますので、よく振り返って下さい。なお、通常の業務で作成する文書でも研鑽が可能です。(メールもです)業務文書であなたが意図していることが相手に正しく伝わっていますか?また、相手の言いたいことが理解できていますか?その辺りを考えて文書を作成すると良いでしょう。専門書籍もたくさんあると思います。

質問その2

【質問者】農業部門

【質問内容】リーダーシップ能力、コミュニケーション能力を向上させるため、思考力を高めることが必要と考えております。もし、効果的な修習方法がございましたら、ご教示いただけないでしょうか。また、微力ではございますが、委員補佐として活動をさせていただけますと幸いです。

【回答】理論的な理解とその実践を通じた省察(リフレクション)の繰り返しが最も効果的な習得方法です。リーダーシップ能力、コミュニケーション能力を向上させるために重要だと考えていることは、「リーダーとは一番下の存在である」と意識することです。業務におけるステークホルダーも普段付き合いのある友達も何もしてくれない、自分から積極的に行動し、ステークホルダーや友達に頭を下げてお願いしないと何もしてくれないものだ、と考えて、今後の行動を変えてみてはどうでしょうか?このような考えを持って行動できると、業務だけでは なく遊びも研さんになります。
なお、思考力に気づいたことはとても良い気づきです。コンピテンシーとは総合力です。コミュニケーション、問題解決など8つのコンピテンシーが独立して存在するのではなく、8つのコンピテンシーが総合力として発揮された時に、業務でも普段の行動でも、とても良い結果が出せるものだと私は考えます。思考力(=問題解決)を向上すると問題の発見(相手が本当は何を望んでいるのかがわかるなど)ができるようになります。このようにコンピテンシーは総合力であると認識してください。
委員補佐、大歓迎です。event04@eitjp.orgまでご連絡ください。

質問その3

【質問者】建設部門

【質問内容】試験準備で心掛ける事項があれば教えてください。

【回答】試験準備としては、日程をよく確認し、申込書の提出、試験日や試験会場の下見、特に口頭試験は日時が指定されますのでその期間海外出張などの予定に配慮されると良いと思います。

質問その4

【質問者】化学部門

【質問内容】国家資格以外の資格取得も継続研鑽の一つとみなされますか? 具体的には、品質管理検定や統計検査などです。

【回答】国家資格でない場合でも、専門的学識を身に着けるうえでは、十分な継続研鑽になります。

質問その5

【質問者】経営工学部門

【質問内容】コンピテンシーや業務遂行力などについてより深く体系的に理解したい。

【回答】深く体系的に取り組むことは素晴らしいと思います。コンピテンシーという概念と、なぜ技術士にはコンピテンシーの8つが求められるかなどを理解すると、日常の業務で意識して自分の行動を見直したり周囲の人を見る視点が広がると思います。
残念ながら技術士コンピテンシー獲得のための体系的学問は存在しておりませんが、修習ガイドブック第3版が修習活動のガイドブックとして有効だと考えます。修習ガイドブックをベースとしてコンピテンシー全般について概要を理解し、ご自分で深く掘り下げたい(ご自分にとって優先的なもの)ことは、さらに専門書籍を読んだり、研修会に参加するなどOFF-JTとして行い、業務や普段の生活で試してみる、といったことが有効だと考えます。

質問その6

【質問者】船舶・海洋部門

【質問内容】技術士資格取得へ向けた会社の理解を得るために有益性を説明しなければならない。技術士を取得することの会社への有益性についてコメント・説明時のアドバイスをいただきたい。

【回答】あらゆる仕事において技術士資格は、自分がある一定以上の能力があることを外部に対してきちっと証明できるものです。会社としては一定以上の能力を持つ人が社員として働いて、かつ公衆公益を考えた業務をしていることを外に説明することができます。
20部門のそれぞれで、一次試験二次試験合格者の方に対して歓迎会とか、ガイダンスのようなものを行っています。船舶・海洋部門でも行っていると思います。是非、船舶・海洋部門に問合せしてもらえれば、良い的確なアドバイスをいただけると思います。

1、ご自分が技術士になることで、会社にどのような貢献ができるか?このような視点で考えてみてはどうですか?委員長講演で自律の精神についてお話ししましたが、自律した技術者として会社にどのようなメリットを与えられるか?考えることが良いと思います。この答えを出せた時には技術士に合格できると思います。
2、本日のガイダンスは委員長講演もパネルセッションも初めて聞く方には少し難しく設定しておりますが、技術士のメリットは本日のガイダンスでたくさん話をしていると思います。よく振り返ってみてください。ただし、本日のガイダンスで技術士の話を聞いただけですべて理解できるわけはありません。本日はスタートです。皆さまはスタートに立ったばかりです。今後研鑽して、技術士について理解して合格してください。
3、私は独立開業しておりますが、お客様が私を使うことでメリットがあるから仕事があると思います。委員長講演でコンピテンシーは自分の幸せのためにもあると説明しましたが、おそらく私も客観的に見た時には幸せです。報酬をいただいている仕事も、技術士会の業務もまあまあうまくいっています。収入もサラリーマン時代の1.5倍になりました。ただし、私の性格上、毎日不安に感じている(仕事で抜け落ちがないか・・など)ので私自身はあまり幸せには感じていませんが。
以上の3点を踏まえ、「参加者の皆さま、あなたが技術士になることで会社にどのようなメリットを与えることができるのか?」考えてみてください。

質問その7

【質問者】情報工学部門

【質問内容】IPD/CPDコミュニティ活動と国際ライセンスについて知りたいと思っております。よろしくお願いいたします。

【回答】
<IPD/CPDコミュニティについて>
研鑽の場という意味では、修習技術者支援委員会、男女共同参画推進委員会等日本技術士会がIPD/CPDコミュニティになると思います。

<国際ライセンスについて>
APECエンジニア、IPEA国際エンジニアという技術士より上位の資格があります。これはIEAの加盟国内でプロフェッショナルエンジニアとして認められ活躍できる資格です。なお、APECエンジニア、IPEA国際エンジニアに登録しても国によっては制約・条件付きでなければ認められない場合もあるので注意してください。その他、プロフェッショナルエンジニア(米国)、チャータードエンジニア(英国)などといった資格もあります。

質問その8

【質問者】機械部門

【質問内容】技術士補登録のために、師事する方がいないのですが、何か相談できる機会や方法はありましたら教えてください。

【回答】 技術士補登録のために、師事する方がいない場合は、日本技術士会の地域本部へ相談してみてはいかがでしょうか。その他、技術士の取得に関するQ&Aが日本技術士会ホームページに掲載されていますので、参考にしてください。
参考 日本技術士会 男女共同参画推進委員会 Q&A集(備考欄参照)

日本技術士会 機械部会(第一次・第二次試験合格者合同)が以下の通り開催されますので、ご参加いただき、ご相談いただければ良いと思います。

・日時 23年5月27日(土)新合格者歓迎会=13:00~
・会場 機械振興会館(東京都港区芝公園3-5-8)
・会費 参加者は無料(詳細は「https://www.engineer.or.jp/c_dpt/mech/」)

問合せ及び申込先 E-mail:dmech@engineer.or.jp (機械部会)
また、機械部会ホームページに「パスポート制度に関するご案内」(備考欄参照)が掲載されていますので、ご確認をお願いします。

二次試験の受験資格として心配されているようでしたら、技術士補登録が必ず必要ではありません。一次試験合格などの修習技術者となってから、職務上の監督者の下での4年を超える実務経験を積むことで二次試験の受験資格を得ることができます。(経路②)
技術士補としての実務経験は、指導技術士の補助をした業務だけになりますので注意が必要です。(経路①)

質問その9

【質問者】応用理学部門

【質問内容】二次試験に合格するためにすべきこと

【回答】
<筆記試験>
「応用理学あるある」なのですが、応用理学部門が網羅する範囲が広すぎて、何から勉強していいかわからないというのがあります。社会的に話題になっている事象に対して自分の専門で考える事が必要です。他の部門の勉強方法と同様、白書から出題される事が多いので、過去問からどの白書からの出題が多いか確認してください。科学技術・イノベーション白書は広く科学技術を網羅しているのでおすすめです。

<口頭試験>
日頃からコンピテンシーを意識して業務に取り組んでください。また、応用理学と似た部門が多いので、他の部門の科目表も読み、「応用理学との違い、なぜ自分は応用理学の技術士になろうとしているか」を意識してください。

2当日にいただいた質問

質問その1

【質問者】情報工学部門

【質問内容】私は、今まで資格勉強をする際、参考書籍を購入して書籍ベースで勉強をしてきました。技術士の勉強をするにあたり、各部門の白書や学会誌を読んでいたほうがいいとお話しされていましたが、書籍としては販売していないように感じます。それらの文献の選び方や入手または、閲覧する方法を教えていただけないでしょうか?

【回答】技術士の名称は部門まで記載する必要があります。つまり専門とする部門の専門的学識を備える必要があると考えます。そのための手段として、学会誌の購読は専門とする部門の最新の技術や自分が経験していない内容の事例、学会が考える問題や解決の方向性が分かると思います。よって、できればこれを機会にご自身が専門とする学会にも入会頂き情報を収集して、技術士となったあとも継続研鑽し専門的学識を高めていって欲しいと思います。入会や年会費が掛かると思いますが、これは技術者として成長するための投資だと考えます。なお、白書は各省庁のホームページに掲載されていますので無料で見ることができます。参考にしてください。

質問その2

【質問者】衛生工学部門

【質問内容】書く力、アウトプット能力を上げるには?それが試験に向けて備わったかの確認する方法が知りたい。

【回答】私のお勧め書籍を紹介します。『知的な科学・技術文章の書き方―実験リポート作成から学術論文構築まで 単行本 – 1996/10/1』 中古書籍により安価に購入可能です。是非、お手元においてください。書く力が向上しているかの評価方法は、技術士の方に確認して頂くことが重要だと思います。修習技術者のうちは、自己評価が難しいと思います。指導技術士のもとで修習活動を行うとは、まさにこのことだと思います。社内や近くに技術士がいない場合は、日本技術士会や各県の技術士会などの活動に参加するか入会することをお勧めします。

以上