2023年5月度修習技術者研修会 開催報告

みなさん、こんにちは!
修習技術者支援委員会委員の石川です。コロナウイルスの第5類移行で、世間が徐々に通常の賑わいを取り戻そうとして、海外からのインバウンド需要も増えている忙しい中、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
2023年5月13日(土)、2023年5月度の修習技術者研修会を開催しました。今回は機械振興会館6階本会場と、Zoomオンラインによるハイブリッド方式開催でした。参加者は会場9名、オンライン40名と、5月の単独テーマ開催としては盛況でした。
1.概要
今回のテーマは、専門技術能力資質向上講座「DXの概要と事例紹介」です。講師は、修習技術者支援委員会委員の小塚隆氏(技術士(金属部門))が行いました。最近DX(デジタル・トランスフォーメーション)と称して盛んに企業のデジタル化による改善事例が宣伝され、各企業でもそれによる企業改革・改善が行われていますが、今回はそのDX事例について集約してまとめ、その方向性は何があるのかをテーマに、ご講演をお願いいたしました。途中、ブレークアウトセッションで、参加者及びファシリテータ(一部委員)の自己紹介と討論を30分間行ってまとめを行い、事例発表と質疑を通して、理解度の向上を図るようにしております。
2.開会の挨拶
まず本委員会の阿部委員長(技術士(電気電子部門))から、次の様にご挨拶がございました。 「皆さん、こんにちは。修習技術者支援委員会 委員長の阿部でございます。今日も休みにも関わらず、多くの方に参加頂き、誠にありがとうございます。今日のテーマはDXという事ですけれども、DXもそうですし、Chat GPTに代表されるような会話型AIも急速に進歩して行っていると。重要なのは、おそらく1年後2年後にはこの分野はもっと進歩していると思います。たぶん会社によってDXの技術は活用が進んでいるところといないところがあるのですが、これからこの技術はもっと進むと思うので、DXに振り回される側ではなく、上手く活用して、ご自分の業務にうまく適用していただけるような方になっていただきたいと思います。技術士とはそういう存在ではないかと思います。今日皆さんに配布している資料でDX事例はたくさん有ります。私が今、物流関係で進めている事例も

写真1 阿部委員長ご挨拶     1つ入れております。面白いのは、物流ではない全く関係ない業種の顧客です。考え方が適用できるので導入を進めております。今日の研修では、DXについて身の回りのものから考えてみるグループディスカッションがありますので、ぜひこれでDXの基礎から学んで、自分の組織にどう応用できるか考えて頂ければよいのかなと思います。では、今日もよろしくお願いいたします。」

続いて本委員会 名平委員(情報工学)の司会で、Web研修における注意事項の説明と、講師の経歴紹介が行われました。

3.講演会前半
続いて、講師の小塚様から本日のプログラムが提示されました。自己紹介と、DXとはどんなことか、取組事例の一例紹介の説明に続いて、各社におけるDXの推進内容を書き出して持ち寄り、ブレ ークアウトセッションにおけるグループワークの中で分類して整理し、発表する、といった         図1 注意事項画面                                         流れのご説明がありました。

  写真2 講師 小塚様             図2 アジェンダ

DXは、図3の様な定義がありますが、そのDXの事例として、
・ペーパーレス化
・3Dモデルの活用
・バーコード・QRコードの活用
・教育訓練(VR活用、e-ラーニング)
・コミュニケーション(Teams・Zoom、チャットシステムの導入活用)
・データ取得(取得の自動化、保守点検作業動ガイダンス、データ測量による出来形管理)
・管理(ドローン活用、環境DNA調査)が紹介されました。 実に、DXは省力化・省人化と、オンラインコミュニケーション、見えない作業部分の可視化シミュレーションにも利用されている事が分かります。その後、各班のブレークアウトセッションで、オンラインでのGoogleスプレッドシートを使った入力方法の説明と、そのサイトにつながるQRコードの提示がありました。

図3 DXとはどんなことか

4.ブレークアウトセッション(グループワーク)
ブレークアウトセッションで、各グループのDX事例持ち寄りと整理の打合せが始まりました。私もファシリテータで参加しましたが、このDX事例をGoogleスプレッドシートで、オンライン入力で、参加者の皆さんがサクサク入力していく光景が、なんとも壮観でした。しかも、Excelのようにファイルを保存する手間がなく、自動的に保存されるのですから、快感です。
図4 ブレークアウトセッション スプレッドシートと書き出し方法の画面

難点は、コピーペーストがExcelの様には行かない、ということでした。固定観念にとらわれていてはいけないですね。30分の討論は、あっという間に過ぎるので、油断がなりません。ちょっとファシやってもらえますか?と訊かれてOKしたら、怒涛の如く整理に追われてセッションは終了しました。
オンライン参加でも、会場参加でも、議論が白熱すると、まとめ時間がどんどん無くなります。その後14:10~14:20の10分休憩をはさんで、A班からH班までの事例発表となりま

した。

写真3 H班(会場)GWスナップ

5.DX事例発表
各班の発表を見ていますと、「AI活用」や建設部門における「BIM(Building Information Modelling)」による業務フロー改革、「ドローン使用による橋梁の目視点検」など、イノベーションに相当する内容も出てきました。
基本的にはペーパーレス化、省力化、テレワークとオンラインコミュニケーション、クラウド化などのキーワードでまとめられそうです。
熟練者の暗黙知を形式知化する事例(熟練技能者による条件設定からの脱却)も、発表されました。キーワードのくくり方の大小でも、まとめ方に差が出そうでしたが、何とか各班の差は無いように見受けられました。
中には、ご質問がやや専門的で細かい方もいらしたようですが、そこは方向性を見る全体の議論上

写真5 A班GWスナップ         割愛されても良いのではと思いました。

Zoom、Teams等のオンラインコミュニケーションツールの普及については、このコロナ渦が1つの契機になったとの認識で良いと思います。 また、作業進捗の確認をZoomで毎日実施する、という事例もありました。
事実、私も毎日の品質分析のミーティングや社内会議、外部顧客との打ち合わせに、Zoom、

写真6 B班GWスナップ     Teams、Webex、社内コミュニケーションにLineをよく使っております。使わない日がないと思うくらい、オンラインコミュニケーションツールは日常の世界になっています。気付かなかったのは、安全パトロールを1日何回もやるのを止め、リモート監視カメラ化したという例、電子押印に時刻改ざんの恐れがあるとの指摘でした。

私も安全パトロールを、抜き打ちで時間を変えてやった事がありますが、ナルホドそうか、でも体を動かして、歩いて目視しないといけないのじゃないかなと思いました。

監視カメラの振り返りも、また難儀な労力ではないかとも思われました。これらの活発な議論と情報共有を基に、また新たなDXの事例創造のヒントができるのではないかと思います。

写真7 E班GWスナップ

6.閉会の挨拶
最後に、本委員会の片岡副委員長(技術士(電気電子部門))から、ご挨拶がございました。「今日は1日、お疲れ様でした。今日はDXという事で、異なる部門の方の発表を聴いたりして交流が深まったかと思います。業界が違う人たちがどんな取り組みをしているんだろうという視点があったり、あるいは新たな気づきがあったりされたのではと思います。似たような事を違う視点でやっているとか、意外とこういうところに落とし穴があるとか、気づかれたかもしれません。
先に阿部委員長からもお話がありましたように、この技術分野は1~2年でまた変わっていくものと思います。ちゃんとフォローしていただいて、DXに振り回されるのではなく、自分でDXを進めていくような立場になって進めて頂ければ、今日の研修はとても有意義だったのではと思われます。今日はありがとうございました。」

写真8 片岡副委員長ご挨拶

7.さいごに
3時間以上の研修会、いかがだったでしょうか。DX事例からは、従来からの課題であったペーパーレス化、省力化、省人化、オンラインコミュニケーションを達成しながら、コスト削減を図っていました。目視では見えない作業の可視化、作業の見直しAIなど、イノベーションの事例もありました。また、オンラインツールの爆発的な普及が、DX化を加速させています。業務や生活の中に入り込んでいるDXは、最近のChat GPTやBardの様な人工知能AIの登場で、より高度な作業が可能となりつつあり、それらとのかかわり方についても民間・国・自治体を含めた議論やニュースが頻繁に出ています。倫理上の議論も含めて、動向が注目されます。

コロナウイルスは、以前このブログでオミクロン株云々と書きましたが、たった1年半前の事です。もう世間で語られる事も薄れていくかと思う一方、DX化はさらなる発展を遂げようとしているように思えます。その動向に注目しながら、技術士、修習技術者として、成すべき事は何かを考え続ける必要があるのではないか、と感じました。
さて、6月の研修会は6/10(土)、「文章作成能力向上講座」です。論文の書き方を、著名な講師がオンラインで実地指導する企画です。修習技術者で準会員の方のみ、参加OKとなっております。また、会場・Webで、お会いしましょう。
修習技術者支援委員会委員 石川和真 技術士(化学部門・総合技術監理部門)