2025年8月度修習技術者研修会 開催報告

2025年8月度研修会(令和7年8月2日 13:00~17:15)

ブログをご覧になってる皆様、こんにちは!

8月度ブログ担当の修習技術者支援委員会の三谷です。

今回の実施概要・課題、講師は以下の通りです。

〇実施概要・課題

問題分析手法とコンピテンシー開発手法の習得

(基本修習課題「業務遂行能力」、資質・能力「IP4問題分析ほか」)

問題分析の中で、次のような失敗をしたことはありませんか?

「解決策ありきで問題分析した結果、全体としてロジックが通っていない」

「問題Aを長時間議論したけど、よく考えると問題はBで、議論がやり直しに」

問題分析のフレームワーク(考え方の枠組み)として、what, where, why, how があります。この活用で上記の失敗を防げますが、活用には練習が必要です。

今回は問題分析フレームワークを活用して、技術士コンピテンシー開発手法の習得方法を学びました。

〇講師:島田 拓実(しまだ ひろみつ)氏

(技術士(機械部門)、修習技術者支援委員会委員)

〇司会進行:修習技術者支援委員会 今野委員(化学部門)

本研修会は機械会館の会場参加とオンライン参加のハイブリッドで行いました。会場参加12名、オンライン参加17名の29名でした。

1.研修概要

「問題分析手法とコンピテンシー開発手法の習得」

島田講師による講演が行われました。前半の講義では、問題分析フレームワーク what, where, why, howおよびdo, afterを活用し、どのように問題の明確化、問題箇所の特定、原因の追求、解決策の立案を行えば良いか、その方法についてご講演頂きました。40分の講義の後に個人ワークとグループでの共有を行いました。後半の講義では、コンピテンシー開発のポイントや、コンピテンシーを感じるストーリーの構成例などを紹介頂きました。その後に個人ワークでとグループでの共有を行い、コンピテンシーを感じるストーリーについて理解を深めました。

2.講演1(13:10~14:40)および講師自己紹介

講師:島田 拓実氏

講演会場風景

2.1 「問題分析フレームワーク」ご紹介と説明

まず最初に、個人ワークとグループ共有で行うことについてご説明頂いた。個人ワークでは、できる人は「良い」内容を目指して欲しいとのお話があり、「良い」とはどういうことを指すのかご説明頂いた。

 問題分析における失敗

問題分析における失敗とは、どういうことが原因で発生するかについてご説明頂いた。問題解決フレームワークのwhat, where, why, howの分析が不十分であり、その結果として失敗してしまうことがある。

what:「何が問題か」を明確にしていない。

where:「どこで問題が起こっているか」の検討が十分でない。

why:「なぜその問題が起こっているのか」を追求していない。

how :「どのように解決するのか」の基準を決めていない。

「what,where,why,how」の順番で丁寧に分析していない。

こういった場合に問題分析に失敗することがあるため、問題解決フレームワークを活用することで防ぐことができるとご説明頂いた。

 

技術者としてのプラスアルファとして、do, afterの観点も必要だとご紹介頂いた。どう進めるか、解決策を実施した後にどうするか、について考えると、先々の問題に対処しやすいとご説明頂いた。

3. グループワーク1(13:50~14:50)

各自がテーマを1つ決め、問題分析フレームワークに沿って分析を行いグループで共有した。グループワークは、自身が行った個人ワークの内容に対し、他者との対話の中で自分自身が認識していなかった項目や認識していた項目について考えるときっかけとすることを目的としている。

まず30分間の個人ワークで、フォーマットに従ってwhat, where, why, how, do, afterを記入した。次に30分間のグループ共有を行い、記入した内容に対して説明および質疑を行った。

4. 講演2(15:00~15:30)

4.1「コンピテンシーを感じるストーリーの作成」ご紹介と説明

コンピテンシー開発について説明頂いた。マネジメントを例にして、「マネジメントを学ぶ」「マネジメント力を開発する」の違いについて説明いただいた。「マネジメントを学ぶ」はインプット中心だが「マネジメント力を開発する」はアウトプット(実践)中心だと説明いただいた。

4.2 行動と行動特性

行動と行動特性(コンピテンシー)の関係性について説明頂いた。氷山モデルを例に、行動特性であるスキルやウェイは目に見えないが、目に見える「行動」から行動特性を感じることができるとご説明いただいた。またコンピテンシー開発は、「シチュエーションを起点に取りたい行動を考える」「行動に必要なスキル・ウェイを考え、開発する」「実際に行動し、成長の実感を得る」ことがポイントだとご紹介いただいた。

4.3 技術士コンピテンシー

技術士コンピテンシーの「リーダーシップ」「問題解決」「専門的学識」「コミュニケーション」「マネジメント」「評価」「技術者倫理」「継続研鑽」について、どのようなシチュエーションで、どのような行動が該当するのかご紹介いただいた。

5. グループワーク2(15:30~16:30)

「自分の理想通りの行動を取るためには、いっそ一つの物語を作るように考えた方が良い」という物語思考という考えがある。技術士コンピテンシーを元にした物語思考にそって、

1.プロジェクトで利害対立が発生。

2.利害対立を解消する解決策の立案。

3.解決策の関係者への提案。

4.解決策に対する要件/要求事項の達成。

5.解決策実行の総括。

6.倫理的に行動できたかの確認。

7.資質向上の必要性。

について個人ワークを30分間行った。

個人ワークの後にグループ共有を30分間行った。グループ共有では各人で発表を行い、他の参加者から「参考にしたい点、深掘りしたい点」について共有を行った。

6. 閉会挨拶と参加者集合写真

6.1 閉会挨拶

修習技術者支援委員会 谷本副委員長(衛生工学、総合技術監理)

6.2 参加者集合写真

会場参加者および、スクリーンにはWEB参加者をうつしての、集合写真です。

7. 研修会終了後の会場参加者による情報交換会の様子

毎回、研修会終了後、懇親会会場(居酒屋)に場所を移して情報交換会を開催しています。また、WEB参加者も、オンラインにて情報交換会を開催しています。

8. 終わりに

今回の研修会は、講師による講演とグループワークにより、問題分析手法とコンピテンシー開発手法の習得について学びました。

個人ワークは技術士でも制限時間内に記入することが難しい程の難易度でしたが、参加者の皆様は限られた時間をフル活用し、個人ワークに取り組まれていたことが印象的でした。グループ共有も自分の意見をしっかりと述べ、それを受けてしっかりと質疑応答をし、それによって新たな気付きが得られていたように感じました。参加者の皆様は本当にお疲れ様でした。

今回の研修会も会場参加とWEB参加のハイブリッドで運営しました。WEBにおいては、スムーズに行われ滞りなく研修会を終了することができました。多くの協力頂いた修習委員に感謝いたします。

  修習スタッフの皆様(会場での対応の様子)

(修習技術者支援委員会副委員長 三谷洋之)