2025年10月度研修会(令和7年10月11日 13:00~17:00)
ブログをご覧の皆さま、こんにちは!
10月度ブログ担当の修習技術者支援委員会・加藤です。
今回の研修会の実施概要・課題、講師は以下のとおりです。
○実施概要・課題
テーマ:「気候変動・地球温暖化対策」における“緩和策と適応策”から課題抽出と解決策を考える
基本課題:「業務遂行能力」
資質・能力:「IP4 問題分析」「IP5 解決策と立案のデザイン」
地球温暖化に伴う気候変動の影響は年々顕著になり、毎年のように平均最高気温の更新が続いています。
日本は2020年10月、当時の総理大臣により「2050年カーボンニュートラル(CN)」が宣言され、そこから低炭素社会から脱炭素社会の実現へと大きく舵を切りました。
以降、政府はあらゆる産業分野や私たちの日常生活に関わる分野で様々な施策を講じています。
それらの施策には、CO₂削減のための「緩和策」と、気候変動による影響を最小限に抑える「適応策」の二つが存在します。
今回は、気候変動・地球温暖化対策に関心を持つ皆さまとともに、講演およびグループワークを通じて「緩和策」と「適応策」への理解を深めました。
○講師
井上 護(いのうえ まもる)氏

〔修習技術者支援委員会 委員/技術士(衛生工学部門)〕
○司会進行
修習技術者支援委員会 河野委員(経営工学・総合技術監理)

本研修会は、機械会館での会場参加とオンライン参加のハイブリッド形式で行われました。
参加者は、会場10名・オンライン8名の計18名でした。
スタッフは、会場11名・オンライン6名で 総勢35名での研修会となりました。
1.研修概要
テーマ:「気候変動・地球温暖化対策」における“緩和策と適応策”から課題抽出と解決策を考える
講師の井上委員による講演では、日本の地球温暖化対策の基盤となる「地球温暖化対策推進法(温対法)」の概要から、2050年ネットゼロに向けた最新の進捗まで、最新資料をもとに解説いただきました。
井上委員は、「廃棄物処理の分野に50年携わり、“ごみ大好き人間”の一人として取り組んできた」とユーモアを交えながら自己紹介されました。
講演の後、参加者は会場2グループ、オンライン3グループに分かれ、講義内容を踏まえたグループワークと発表を行いました。
2.講演概要

2.1 「温対法」とは? 私たちが取り組むべき背景
「地球温暖化対策推進法」(温対法)は平成10年(1998年)に制定され、COP3(京都議定書)を背景に、国・自治体・事業者・国民が一体となって地球温暖化対策を進めるために作られた法律です。
目的は、温室効果ガス(GHG)排出の抑制を通じて現在および将来の健康で文化的な生活を確保し、人類の福祉に貢献することです。
2.2 2050年ネットゼロに向けた日本の進捗
2023年度の日本のGHG排出量はCO₂換算で約10億1,700万トンとなり、前年度比4.2%減(約4,900万トン減)を達成。
2013年度比では27.1%減少し、家庭・産業部門での削減が特に進んでいます。

2.3 温暖化の現状:2024年は「観測史上最も暑い年」
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は人間活動が温暖化に「疑う余地なく影響している」と報告しています。
CO₂濃度は産業革命前より約51%増加し、2023年には420ppmに達しました。
世界気象機関(WMO)は2024年を「観測史上最も暑い年」と発表しています。
日本でも、豪雨や台風の激甚化が進み、適応策の重要性が増しています。
特に農林水産業では、高温耐性品種の開発・導入などの取り組みが進められています。
2.4 対策の二本柱「緩和」と「適応」
緩和策(Mitigation)はGHG排出を抑える取り組み、
適応策(Adaptation)は温暖化の影響を軽減する対策です。
この二つは「温対法」と「気候変動適応法」に基づき、一体的に推進されています。

2.5 各分野の取り組み
政府は「成長志向型カーボンプライシング」や再エネ導入、CCUS技術開発など、
広範な「緩和策」を進めています。
また、「適応策」では以下のような分野別の施策が挙げられました。
農林水産業分野:高温耐性品種の普及や管理技術の徹底
自然災害分野:流域治水の推進(ハード・ソフト対策の協働)
健康・国民生活分野:熱中症予防の啓発と暑さ指数の提供

3.グループワーク
参加者は会場・オンライン合わせて5つのグループに分かれ、課題抽出と解決策の提案を行いました。
ワークは約100分間で、技術部門や年代を超えた活発な意見交換が行われました。
各グループはPowerPointを使用して発表し、他グループからの質疑応答も行われました。
講師の井上委員からは、
「気候変動・地球温暖化対策はグローバルな課題。一人ひとりの意識と国際協力の両面で行動してほしい。」
との講評をいただきました。


4.閉会挨拶と集合写真
修習技術者支援委員会副委員長 谷本副委員長より、
「本日の研修会を通じて、技術士コンピテンシーの資質向上に繋がったと思います。グループワークの時間が短かったため、解決策までしっかり導き出すことは難しかったと思いますが、研修会を振り返り、あらためて各部門の技術者として気候変動・地球温暖化対策について、課題・問題点、解決策を考えて頂きたいと思います。また、今後も研修会に参加頂き、修習技術者、技術士とも、継続研鑽し、科学技術の向上に貢献して頂きたいです。」との言葉で締めくくられました。

会場参加者と、スクリーンに映るオンライン参加者を合わせて集合写真を撮影しました。

5.情報交換会
研修会終了後は、会場参加者による懇親会を開催。
またオンライン参加者もZoomを通じて情報交換を行いました。
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6.おわりに
今回の研修会は、講演とグループワークを通じて、「緩和策」と「適応策」を多面的に考察する貴重な機会となりました。
限られた時間の中でも、活発な意見交換が行われ、参加者一人ひとりが新たな視点を得ることができました。
今後の業務や学びに、ぜひ今回の内容を活かしていただければ幸いです。
私は、日本で進められているさまざまな「適応策」の中でも、農林水産業分野の取り組みが特に印象に残りました。
この分野では、近年の高温によるお米の品質低下に対応するために、高温に強いお米の品種を開発・導入する取り組みが進められています。
こうした「適応策」を、「将来もおいしいお米を食べ続けるための取り組み」として考えると、ぐっと身近に感じられますよね。
気候変動の問題を、私たちの毎日の食卓や暮らしとつなげて考えることが、理解を深めるきっかけになったと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。