2022年9月度修習技術者研修会 開催報告

みなさん、こんにちは!

修習技術者支援委員会 委員の加藤です。
9/10(土)に、9月度の修習技術者研修会をオンラインで開催しました。
今回のテーマは「リスク管理と未来予測」です。

本研修会では、講演でリスク管理の概要とその重要性について学びました。グループワークでは日常的な事例からリスク管理を行う練習ののち、自然災害などのより広域的な問題のリスクに関して議論を行いました。専門の異なる参加者が1つの問題に対して議論することで、多様な視点に気づくことも目的としました。

1. 開会挨拶

最初に阿部委員長から、開会挨拶がありました。

「今日は皆さんに先に3つお伝えしたいことがあります。

  • 青年技術士支援員会の河野委員長にオブザーバで参加いただいています。河野委員長から学べるものがたくさんあると思いますので、同じグループの方は1つでも多く学べればと思います。
  • 今回、高専の学生さんが参加されています。1つ注意しておただきたいことがあります。皆さんは、普段からされていると思いますが、相手の発言を否定ししない等相手への配慮をお願いします。皆さんと高専の学生さんは立場は同じです。いつも通りに参加いただければと思います。
  • この研修会であまり今まで伝えてこなかったことを反省しています。勉強とは楽しいものです。今日の研修会も皆さん楽しんでください。その楽しみの中で1つでも多くの学びをもぎ取れればよいと思います。

今日の研修会でリスクをきちんと理解して、ご自分の業務、生活の中で何か気づきになるものがあればよいと思います。」

本委員会 阿部委員長

「勉強とは楽しいもの」という言葉が、心に響きました。勉強は辛い、頑張らなければならない等のマイナスなイメージが強いがこの言葉を心に置いて取り組めば、前向きに勉強に取り組めるのではないかと感じました。

2.講演「リスクマネジメントの概要」

本委員会 石黒委員による講演が始まりました。スケジュール、自己紹介の後、最初に、「リスクとは何か」についてISO31000の定義、リスクと正しく付き合っていくことが大事であること、技術者にとってなぜ必要か、危険予知(以下、KY)などを含め、リスク管理について説明がありました。その後、大正時代の石積みでできた川沿いの道の地面の空洞を埋める工事の事例を使ってのリスク管理の重要性、KYシートを例にして、リスクの発見→分析→評価→対応について具体的に説明があました。特に、リスクの対応(回避、移転、提言、保有)について修習技術者ガイドブックの抜粋にて詳しく説明がありました。

講師 本委員会 石黒委員

具体的な事例を交えた説明は分かり易く、リスクマネジメントの概要が理解できる講演であったと思いました。

3.グループワーク1

まずは、リスクマネジメントの考え方に慣れたもらうために、日常的なリスクの例を考え、以下の2つのテーマについてグループワークが実施されました。
・通勤・通学に潜むリスクを考える。
・友達とキャププに行くときのリスクを考える。
グループワーク1の後、1つのグループから発表があり、参加されていた高専生より以下のリスクについて説明がありました。
【通勤通学に潜むリスク】   3つにまとめると、交通事故、自然災害、健康面のリスク
【キャンプに行くときのリスク】キャンプに行くまでの準備不足・知識不足、天候気象の問題、熊や蜂に襲われる、低体温症等、主に天候によるものと健康に関する被害
短時間でありましたが、広い範囲で議論され、多様なリスクが抽出され、リスクに関する理解が深められたと思います。

グループワーク1の発表状況

4.講演「広域的な問題に対するリスク管理」

広域的な問題として①気候変動、②火山などの大規模災害、③少子高齢化問題のテーマに絞って講演がありました。
①気候変動:平均気温の上昇で、・豪雨の甚大化、・土砂災害の増加、・渇水リスク
②火山などの大規模災害:地球史的に残る大規模な火山活動、・近年の様々な火山活動の被害例
③少子高齢化問題
・日本の人口構成の型がつぼ型である。→若年労働力の不足などの問題が懸念される。
・人口数だけを見ると、1990年と変わらないけれど、65歳以上の人口は2倍以上増えている。
・労働人口の減少等
災害の実例や公的なデータをベースに説明がありました。

5.グループワーク2

以下の点について、80分の時間を取って、技術者の視点で考えて、グループワークが実施されました。
・3つの社会問題のうち、1つを選択する
・社会に対しての考えられるリスクをできる限り挙げる。
・リスクが顕在化した際の、影響の大きさを評価、対策
グループワークでは、以下の補足が講師からありました。

(補足)自分の知識の不足に気づくことも目的の1つ、自分の知識不足の部分は今後調査・勉強する前提でワークすることでよい。具体的な仕事(プロジェクト)をイメージし、「なぜその対策が重要と思ったか、その理由」「対策を実現化するためのプロセス」も考えてほしい。

【A班】
①選定テーマ:少子高齢化
②リスク抽出・評価(大=3点、大中=2.5点、中=2点、小=1点):主なものは以下の通り
・人がいなくなるため過疎化が進み地域活性と逆の動きが発生する。地域衰退(重要性3点×頻度2.5点=7.5点)
・人が集まらないため労働負荷が上がり、労働時間が増える事による健康被害発生(重要性2.5点×頻度2.5点=6.25点)
③対策:主なものは以下の通り
(地域減衰)都心の企業が地方に進出し働く場所を提供する。理由:地方いなくなる人に対する対策
プロセス:マッチング調査を行い、地場産業と繋がりを持たせる。

A班のグループワーク2の状況

【B班】
①選定テーマ:火山などの大規模災害
②リスク抽出・評価(大=3点、中=2点、小=1点):主なものは以下の通り
交通分断、帰宅困難。家族と合流できない(重要性2点×頻度2点=4点)
インフラ停止:電気、ガス、水道 、フィルター類がつまり熱を放出できず、故障(重要性2点×頻度2点=4点)
③対策:主なものは以下の通り
・(交通分断、帰宅困難)インフラが整った防空壕のような、拠点を作る。
・(インフラ停止)無停電電源装置を設置、各家庭への自家発電装置設置、水・食料の備蓄

B班のグループワーク2の状況

【C班】
①選定テーマ:少子高齢化
②リスク抽出・評価(大=3点、大中=2.5点、中=2点、小=1点):主なものは以下の通り
若年労働者の減少により、少ない人数で今の社会を維持していく必要があったり、介護を担う人が少なくなったりする(老々介護)。(重要性3点×頻度3点=9点)
・技術伝承をどうするか。(重要性2点×頻度2点=4点)
③対策:主なものは以下の通り
(若年労働者の減少)5Gを使った建設機械の自動運転化、介護ロボットによる自動化
評価:第三者機関、またはカスタマーによる評価により、PDCAサイクルを回す。

C班のグループワーク2の状況

【D班】
①選定テーマ:少子高齢化
②リスク抽出・評価(大、中、小):主なものは以下の通り
・担い手がいない、労働者不足→生産減、税収が少なくなり、予算が減る。(重要性大×頻度大=大)
・ベテランから若手への技術伝承(重要性中×頻度中=中)
③対策:主なものは以下の通り
・(労働者不足)AIや機械を活用し、人から機械へ移行して生産性を確保、省人化
・(予算が減る)リサイクル、リユースで長持ちさせることで無駄を減らす。

D班のグループワーク2の状況

【E班】
①選定テーマ:少子高齢化
②リスク抽出・評価(大、中、小):主なものは以下の通り
人手不足による日本の技術力の低下(重要性大×頻度大=大)
・人手不足による設備の老朽化(重要性中×頻度小)
③対策:主なものは以下の通り
・(技術力低下)技術をマニュアル化し,見えるもの(紙面ARやVR)として残していく。
・(技術力低下)経験がいらない部分は自動化(効率化)し伝承が必要な部分に時間と労力を割く。

E班のグループワーク2の状況

テーマは、5チーム中4チームが少子高齢化、1チームが火山などの大規模災害でありました。現在の日本における重要なリスクである少子高齢化にテーマが集中していましたが、火山のリスクも重要であると思いました。私の専門は、情報システム付帯電気設備工事の設計監理です。降灰によりデータセンター(DC)の空調システムの機能不全となり、社会基盤である重要なシステムが停止する可能性があり、DCのバックアップの必要性までは理解していました。しかし、発電所の発電量低下や通信障害の発生等の可能性もあることは今回調べて分かりました。また、日本には富士山など多くの活火山があり(気象庁ホームページ(ttps://www.data.jma.go.jp/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/katsukazan_toha/katsukazan_toha.html)参照)、噴火した場合、広域の交通問題(物流停止→食料不足等)、水問題(火山灰に含まれたフッ素などの水に溶けやすい体に有害な物質も含まれている。)が発生する可能性があることも今回調べて分かりました。自分の知識不足に気づき(今回の研修会の成果)、少し知識の幅が広がったと思います。

6.講評

青年技術者支援委員会の河野委員長から講評をいただきました。

「参加者の方々が多角的な視点から考え、どのようにすればそのリスクを解決できるのか深く考え議論していたことは多いに刺激を受けました。技術者は科学技術の発展に貢献する反面、リスクを伴うこともあるため、日頃から技術者がリスク管理を考えることは非常に重要と再認識しました。」

青年技術士支援委員会委員会 河野委員長

7.閉会の挨拶

修習技術者支援員会の片岡副委員長から閉会の挨拶をいただきました。

「自らのチーム内での議論のほか、ほかのチームのアプローチの仕方や導き方のプロセスを体感できたと思います。本研修での学びは業務でも使えるし、技術士になるうえでも重要なコンピテンシーと思います。」

本委員会 片岡副委員長

以  上

修習技術者支援委員会 委員 加藤 哲生