ブログをご覧になっているみなさん。こんにちは!
1月度ブログ担当の修習技術者支援委員会委員補佐 セノオです。
苗字を一度で読むことができた方が非常に少ないので、カタカナ表記にしております!気になる方は、最後に漢字表記の記載がありますので、ぜひ最後までお付き合いください。
さて、1/18(土)の研修会は
「技術者・研究者のためのメンタル強化策入門」です。会場とWebで開催し、WEB参加 8名(会員7名、非会員1名)会場参加 13名(会員11名、非会員2名)計 21名の方にご参加いただきました。
会場があるビル内工事の影響のためか、ネットワーク環境で不具合が急遽発生し序盤はトラブルが続きましたが、皆様のご協力のお陰で、結局15分ほど延長になったものの最後の写真撮影まで無事に終了でき、ホットいたしました。
私は、相手がいきなり怒りだすような自分では理解できない嫌な出来事があると、その出来事ばかりを考えてしまう困ったクセがあります。個人的に、この困ったクセの対策が発見できれば良いなと考えて今回の研修を受講させて頂きました。
今月は2つの講演とグループワークの構成で、研修会の幹事は前半の講演会講師の前野委員でした。また、ネットワークトラブルで影響が大きく被害を受けた司会のご担当は、葛西委員でした。(大変、お疲れ様でした・・・)
開会挨拶
冒頭に修習技術者支援委員会の石川委員長のご挨拶がありました。
今回のテーマは、基本修習課題における業務遂行能力のIP8、IP9 がメインとなる。グループワークの時間を長めに取るようにしたので、活発な討論、ご発言をして頂きたい。

【石川委員長】
- 研修会
2-1. 講演1「技術部門におけるメンタル強化策」 13:10-13:40
講師:前野 聖二 先生
ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ㈱ 技術統括部(元業務管理部長・人事担当)
兼務 湘南工科大学非常勤講師、技術士(化学部門)

【前野先生】
前野先生は、カーボンの研究、導電材料の開発、製造のご経験だけでなく、人事を担当されていたご経験から、メンタルヘルス分野も習得なさり、社内外の企業や日本技術士会でメンタル強化に関するセミナーでの講演のご経験がございます。また、2025年から技術士事務所の所長として独立なさいました。
ご講演内容として、経済学書であるスティーブン・R・コビー著『7つの習慣』を技術者のためのメンタル強化策に応用するという切り口が大変、興味深かったです。私もこの書籍が世界でヒットしているという広告を見かけ、マンガ版(活字嫌いには非常にうれしく思いました)で概略を勉強していましたが、技術者である私もすぐに実践しやすいなと感じていたので、妙に納得してしまいました。
2-2-1.ポジティブ思考
自分自身には物事がいろいろなものに見えてしまう「メガネ」を持っていて、自分の性格も見方によって変化する。そうならば、ネガティブに見るよりもポジティブな見方をした方がメンタル強化につながる。また、性格の一面をネガティブ思考、ポジティブ思考でとらえたワードの比較をなさっていました。例えば、ネガティブ思考な「優柔不断」も、ポジティブ思考で「思慮深い、慎重」に言い換えられます。「これって、意外と訓練でできるようになりますよ。」とも仰っていました。
2-2-2. 主体的な技術開発
(1)影響を及ぼせる範囲
自分自身が主体的にできることに集中するのがメンタル強化につながるというものです。
実験結果が自分の予測から外れたとしても、自然科学でAとBを足したらCになるのはどうしようもない。また、受験などテスト終了後は、「鉛筆を置いた瞬間、合否は決まっている」ので結果についてくよくよしてもしょうがない。自分が影響を及ぼせないことに悩まないように、影響の及ぼせる範囲に集中しようという行動です。
個人的には、影響を及ぼせない範囲に“他人の言動” があると再認識できた出来事が、最も大きな気付きとなりました。そして、影響を及ぼせない範囲で悩んでもムダだと実感でき、さらに心が軽くなりました。
なお、カールロジャースの「2:7:1法則」において、自身にあまり関心がない7人に過度に気を使う必要はないのですが、全く配慮しない場合、昨今ではSNSなどで“炎上” するリスクがあるそうです。皆さま、ご注意ください!
(2)技術開発目標を決めよう
特に、強調されていたのは、技術開発目標を自分の影響を及ぼせる範囲内に設定するということ。「自分の影響を及ぼせる範囲を明確にし、その範囲の中でたのしく積極的に活動することが技術部門におけるメンタル強化策の中で最も伝えたいことです。」ということを強調されていました。
例えば「〇〇開発による△△のシェア拡大」ではなく「△△のシェア拡大を念頭においた〇〇の技術蓄積」とするということです。
2-2. 講演2 「メンタル強化の効果的手法と働き方改革」 13:50-14:40
石塚典子先生(臨床心理士・公認心理師・博士(医学)・東京大学医学部附属病院)
前野先生の講演に続いて、石塚先生より「自身の働き方改革」が推進され、より豊かな日々を過ごす基盤を作るための方法などのご講演をいただきました。石塚先生は、医療系がん患者の支援、依存症の方への支援の経験があり、現在は東大病院に所属されている先生です。石塚先生は、依存症に関する書籍『実践 コミュニティアプローチ』を出版なさったそうですので、ご興味ある方は、ぜひご活用ください!
日本の現状として、世界16か国の中で日本が最もメンタルヘルスの対応に遅れている。また、心の不調が経済にも影響を及ぼし損失が7兆円にのぼり、GDP(国内総生産)の1%にあたるそうです。今後は、メンタルヘルスに注目していかなければならないとのお考えでした。

【石塚先生】
2-2-1.「しなやかな心」 を作ろう
(1) メンタルヘルス(心の健康)って何?
心の健康(いききと自分らしく生きる)の重要条件として、下の3つを上げられていました。
「精神的健康」 …自分の感情に気づいて表現できること
「知的健康」 …状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること
「社会的健康」 …他人や社会と建設的でよい関係を築けること
また、心を風船に例え、適度なストレスは心地よい興奮と緊張を与えてくれ、過度になると小さなストレス要因に反応して破裂してしまうとのことです。
(2) 心の健康を維持・強化する方法(身体からのアプローチ)
自律神経を整える(ON, OFFの切り替えを自分でできる)ためにリラクゼーションが必要であるというご説明で、ストレス低減法の紹介がありました。戦闘モード(交感神経が優位)のままでは、胃腸の動きが減り便秘になりやすい、血圧が上がる、瞳孔が開くなどの体の変化があるそうです。
個人的に、去年から人間ドッグの検査結果で高血圧の傾向があると注意事項に記載があり、減塩食などを取り入れようかと少し気落ちしておりましたが、まずはリラクゼーションを取り入れてみようと思いました!
(3) 心の健康を維持・する方法(心理学的アプローチ)
先生が一番重要とおっしゃっていたパートです。後半のグループワークの内容になります。
心理学のABCD理論において、出来事(A)に対する結果、感情(C)の間に、信念、思い込み、認知(B)があり、他に(D)があるものの本日は割愛する。前向きに考える第一歩はそのB(信念、思い込み、認知)がある事象を知っておくことが重要とのことです。そして、これらは親のしつけや国民性など長年の積み重ねで自動的に出てくるので自身で気づくのが難しく、体に例えると「姿勢・歩き方」のようなものだそうです。
信念、思い込み、認知を自覚する練習として、他人を観察する、怒っている人の認知を推測するなどがあり、特にドラマや小説の登場人物を観察する練習が、面白くお勧めだそうです。大谷翔平選手や営業の方などの事例を紹介なさっていました。
2-2-2.自分の気持ちを伝えよう
ここから自分の気持ちの伝え方についてご教授頂きました。
(1) 自己表現の 3 つのタイプ
自己表現をドラえもんの「のびた」「ジャイアン」「しずかちゃん」の3タイプに分類。
—–
〇のびた…非主張的 「私はOKではない、あなたはOK」
〇ジャイアン…攻撃的 「私はOK、あなたはOKではない」
〇しずかちゃん…アサーティブ 「私もOK、あなたもOK」
—–
(2) 自己表現の方法
上記の「しずかちゃん」の「アサーティブ」な自己主張として、「I-メッセージ」「私を主語にする方法」やDESC法(枠組みなので難しいとのこと)を紹介いただきました。また、自己表現の注意点は、相手を責めるような言い方、さえぎるような言い方はやめるという点です。また、怒りの感情についてマイルドな内に表現することの重要性や他人の怒りへの対処法を教えていただきました。
2-2-3.話を聴こう
(1) 「心」を聴こう
相談相手から状況や出来事を説明されるときに、問題解決するのではなく、その行動の元の心や気持ち(悲しい・つらい・不安など)を引き出すことが重要であり、相談相手はわかってもらえたと感じることで安心感を得る。そうすると自身で解決する・工夫する方向に進んでいくプロセスになるようです。
(2) 「心」を聴くためのコツ
「わかった気にならないこと」が重要で、経験したことがない病気、けがならなおさら、同じ病気、けがの経験があってもその捉え方は人によって変わるので注意が必要とのことでした。聴くときの心構えとして、カウンセリング八策を紹介して頂きました。ここで、助けてあげる人が健康でないと助けられないため聴く側の人が疲弊しないように工夫する対応が最重要とのご説明に、非常に納得いたしました。
会場の質問の後に休憩で、グループワークになりました。
2-3. グループワーク2項目 「感情と認知」、「心を聴こう」 14:50-17:30
グループワーク1:「感情と認知」
目的:出来事に対する「認知(とらえ方・受け止め方)」が人それぞれ異なることを体験します。
グループワーク2:「こころを聴こう」
目的:人が話す言葉が気持ちを表現していないことは多くあります。本グループワークの目的は,話している人の気持ちを想像するという経験です。
オンライン参加で3グループ、現地参加で3グループが編成され、グループワークと各グループの発表がありました。

【オンラインC班のグループワークの様子】
私が参加したグループは、支援委員会の方のファシリテーター1名を含め5名で行いました。C班は欠席の方が多く、委員補佐が3名も同じグループへ割り当てされてしまう事態で、最初はZoom機能の不具合かと勘ぐり、笑ってしまいました。唯一の委員会メンバ外の方が、マイクやカメラをONにできない環境で参加中との状況からチャットで議論に参加して頂き、特別感があるグループワークとなりました。
グループワーク1<Ⅰ群>において、「挨拶を返してもらえなかった」、「相手のためになると思い話しているのに、ちゃんと聞いてくれない」出来事を選択しました。<Ⅱ群>において、「技術士試験を不合格となった」、「技術的な議論をしているつもりなのに“欠点を指摘し責めている”と捉えられた」出来事を選択しました。
特に<Ⅰ群>の「挨拶を返してもらえなかった」出来事に関して、いわゆるZ世代の[認知]が「知らない人に挨拶されると怖い」というご意見があり、個人的に非常に驚きましたが、妙に納得する経験があり、大きな気付きとなりました。
グループワーク2において、本当に伝えたい気持ち、わかってほしい気持ち(正解はありません)について議論しました。
ここで、チャットで参加した方より、恋愛感情を持ってしまった事象により発言した場合に仕事以外の側面もあるというご意見がありました。このご意見を私は全く考えていなかった考えだったため、大きな気付きとなりました。正解がないからこそ、ご講演の中で学んだ聴くときの心構え・コツの『“分かった気”にならない』ように注意し、カウンセリング八策の『気持ちを聴くこと』が大事なのだと感じました。
〇先生からの講評
皆さんとても一生懸命に話合いをなさっていてうれしい。初めての方々でまとめまで終わっていてすごいと思った。などお褒めの言葉をいただきました。
先生の講評において、特に下記が印象的でした。
自身の感情が動いた経験をグループワークでお話できたと思う。これが一番の目的で、他者へお話できた経験はとても重要でこの経験を持ち帰って頂きたい。
グループワークにおける自身の「気持ち・感情」を改めて気付いた出来事により、これから「認知(とらえ方・受け止め方)」を探して欲しい。
閉会挨拶と参加者集合写真
最後に、谷本副委員長による閉会の挨拶をいただきました。
前野委員のご講演で、特に印象に残った内容は、相手の行動は影響の及ぼせる範囲外で相手は変えられないが自分の行動は変えられるという考えでずっと過ごしてきた。今日の気付きは、自分の認知と相手の認知の相違を理解するという点だった。そこで、石塚先生のご説明した、しずかちゃんのようにアサーティブな言動で対応することが重要だと理解した。
今回の研修内容は、技術士のコンピテンシーのうち、コミュニケーションとリーダーシップの獲得につながり、業務に役立っていくと思う。
また、大谷翔平選手が読んだ書籍として、中村天風著『運命を拓く』の紹介もあり、毎日いろいろな出来事に「感謝」する重要性のお話もありました。

【谷本副委員長】

【参加者集合写真】
研修会終了後の会場参加者による情報交換会の様子
研修会終了後、現地参加者は居酒屋に場所を移しての情報交換会の様子です。今回は、特別に元修習技術者委員会委員の飯田さんが遊びに来ていたそうです!ブログをご覧の皆様にも楽しさが伝わればと思います。今回、オンラインによる情報交流会は、都合がつく参加者が少なくすぐに解散となったそうですが、現地での情報交換会とは別に通常、オンライン参加者による情報交流会も開催しております。オンライン参加者の皆さま、次回はどうぞお楽しみに!!


【現地情報交流会】

【元修習技術者委員会委員の飯田さん】
- 所感
研修会では有意義な時間を過ごすことができました。会場のネットワーク環境の不具合で開始が遅延した研修会でしたが、会場やオンラインに関係なく参加者の皆さまが協力的に行動して頂きうれしく思いました。被害が大きかった司会ご担当の葛西委員、大変お疲れ様でした。個人的にもともと人前での発表が苦手なので、今後も司会担当は遠慮したいです・・・。
ここで、今回の研修で学んだポジティブな[認知]を習得できれば、このような重大でないトラブルは、その場を共有する経験で連帯感が生まれ、逆に良い出来事ととらえられるはずです。研修参加の方々にも実践でまずは試していただき、ぜひご一緒に技術士のコンピテンシーを上げて行きましょう!私は、研修会に参加する頻度が高くなると、グループワークでご一緒した方ともお会いする機会があり、毎回楽しく参加させて頂いております。
ブログをご覧になっている皆さまもぜひ、次回の研修会にご参加ください!!

【司会を担当した葛西委員】
(修習技術者支援委員会 委員補佐 妹尾 美芳)