皆さん、こんにちは!
修習技術者支援委員会 委員の名平です。
6/11(土)の修習技術者研修会の終了後に、修習技術者発表研究会を開催しました。
今回、機械部門の小林賢史さんに「シート穴加工機の改善について」という題目で発表して頂きました。
ここでは、発表研究会の模様をお伝えしたいと思います。
1.発表内容の概要
1-1.背景と問題点
最初に、産業用インクジェットプリンターの構造と原理の紹介がありました。構成部品の1つであるノズルプレートは、ノズル穴の大きさでインクを適量に調整する役割を持っています。
今回の発表は、ノズルプレートの製造設備の1つである、シート穴加工機の問題解決事例です。シート穴加工機の機能/目的/原理の説明の後、問題点として、2点説明がありました。
シート穴加工機の構造
- 問題点1:基準穴が打ち抜けない
- 問題点2:対処方法についてノウハウが残っていない
このため、生産が停止して出荷が遅れてしまうリスクが想定されます。そこで、小林さんは、プロジェクトリーダーとして問題解決の活動を行いました。
シート穴加工機における問題点
1-2.課題と解決策
2つの問題点に対し、小林さんはそれぞれ課題と解決策を整理した上で対応にあたりました。
問題点1:基準穴が打ち抜けない
プレス金型専門家から知識を習得して、不具合要因を明確にしました。しかし、生産を一時的に停止し、シート加工機を分解調査しないと、原因の特定や不具合対策ができません。つまり、限られた時間の中で業務遂行を実施しなければならない状況です。そこで、原因調査・不具合対策の計画を立案し、設備搬入や分解作業などの各担当者の役割分担を調整した上で実行を行いました。
問題点2:対処方法についてノウハウが残っていない
「基準穴が打ち抜けない」という問題を再発させないためには、
- シート穴加工機の摺動部の定期的な清掃/グリス塗布
- プレス加工の構成部品であるパンチやダイの定期的な交換
が必要であることがわかりました。そこで、設備の構造や保守方法などを技術資料にまとめ、保守作業方法を製造メンバーへ指導を行いました。
課題と解決策
1-3.成果
原因の特定と不具合対策の実施により、生産を再開することができ、製品出荷の遅延を回避できました。また、定期的な保守作業を実施することで、トラブルを未然防止できる体制としました。さらに、設備の構造、保守方法などを技術文書として形式知化したことで、別のトラブルが起きても、原因を特定しやすくなりました。
改善活動のまとめ
2.発表者(小林賢史さん)の感想
この度はこのような機会をあたえていただきまして誠にありがとうございます。
日頃から自分は技術者としてふさわしい仕事を全う出来ているか不安や疑問に感じながら活動をしていましたが、本発表を通して技術者として少し自信をつけることができたと感じています。
また、様々な方から質問やアドバイスをいただくことができ、いろいろな気づきを得ることもできました。今後の技術者の活動に活かしていくとともに、今回の発表に満足することなくこれからも技術士になれるよう研鑽を積んでいく所存です。
発表して頂いた小林賢史さん
3.最後に
以上、6月度の修習技術者発表研究会の模様をお伝えしました。社外の異なる技術分野の人たちに対して資料を作成し発表することは、修習技術者の皆さんにとって非常に学びが得られると思います。
テーマは仕事のことでもプライベートなことでも構いません。この記事を読んで興味を持たれた方、詳細は日本技術士会ホームページに掲載されていますので、是非アクセスしてみてください。
「修習技術者発表研究会」発表募集要項|公益社団法人 日本技術士会
修習技術者支援委員会 委員 名平光宏